パソコンの頭脳は小さな半導体チップですが、その中には数十億から数百億という数のトランジスタなどが並んでいます。あのような小さな板の上に、人間がピンセットで半導体を並べようとしても到底できるものではありません。では一体どうやって作っているのでしょうか?人間は魔法使いなのでしょうか?
実は魔法を使わなくても半導体チップは作れるのです。その作り方を一言でいうと「部品の設計は人間、膨大な組み立ては自動化された機械」という分業の世界です。チップの中には前述にように数十億から数百億という数のトランジスタなどが並んでいます。
しかし、人間が一つひとつを手で配置するわけではありません。実際に設計者が行うのは、レゴブロックでいえば「基本ブロック」の形を数十種類ほど作るところです。たとえば、電気を反転させる部品や、二つの信号をまとめる部品など、ごく基本的なパターンをあらかじめ人間が用意します。
その後は、自動化された設計ソフトが登場します。人間が「こう動いてほしい」と論理をプログラムを書くことで指示すると、ソフトがそれを解析して、「この場面ではこのブロックを三つ並べる」「ここでは別のブロックを二つ組み合わせる」といった具合に、膨大な規模の組み合わせを自動的に展開してくれます。
こうして作られた設計図は、超精密な製造装置に送られます。製造の現場では、光を使った写真印刷のような方法で、一度に数百万単位のパターンをシリコンの板に写し込み、層を重ねながら実物のチップを形作っていきます。
つまり、半導体チップ作りのストーリーはこうです。人間が基本の積み木を設計し、その組み合わせ方を論理的に書き下ろす。あとはコンピュータがその論理を膨大な配置図に変換し、精密機械がナノレベルの加工技術で物理世界に実現してくれるのです。
いやー、人間て空恐ろしいですね。