私は、自分一人で成果を出すことと、10人の部下を率いることはまったく別の力だと痛感しています。部下を10人抱えて指揮を執るとき、まず意識するのは「全員を同じ方向に向かわせる」ということです。私がやりたいことを押しつけるのではなく、目標を明確に言葉にし、なぜその仕事をするのかを理解してもらいます。そのうえで、各人の得意分野や性格を見極め、役割を割り振ります。適材適所が実現できたとき、チームは最も効率よく力を発揮します。

次に大切なのは、部下の声を聞く姿勢です。上司である私が一方的に決めてしまうと、部下は受け身になり、能力を出し切れません。だからこそ、意見を求め、アイデアを吸い上げます。時には私の想像を超える発想が飛び出し、それがチーム全体を活性化させます。

さらに、10人という人数になると、必ず温度差や不満が出ます。私はそれを放置しません。小さな兆候のうちに話を聞き、個別に声をかけます。摩擦を減らし、互いに信頼し合える空気を作るのも私の役割です。

そして最後に、成果を出したときは、必ず個人とチームの両方をしっかり評価します。努力が報われると感じた部下は、次の挑戦に自ら手を挙げてくれます。私はそれを何より誇らしく思います。結局、私の仕事とは、自分が手を動かすことではなく、部下の力を引き出し、10人の力を一つに束ねることなのです。

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川辺ゆらぎ
読みやすい文章と、更新しやすい設計が好きな編集者/デザイナー。